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新卒から見た、宮森あおいに見る責任感とマネジメント

この記事は SHIROBAKO Advent Calendar 2016 4日目です。 ハードルがどんどん上がってきているので、一回休み的な形で見ていただけるとありがたいです。

僕は武蔵野アニメーションの制作進行を務めるおいちゃんこと宮森あおいについて書きたいと思います。

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※ 画像出展 キャラクター|TVアニメ「SHIROBAKO」公式サイト

宮森は新卒で武蔵野アニメーションに入り、1話時点で新卒1年目半年ほど、作中で2年目となり制作デスクを担当、そのまま最終話を迎えます。
経歴としては浅いですが、非常に優秀な制作進行・デスクとしてステークホルダーとの調整・仕事の割り振り・進捗管理等々の仕事をこなしています。

さて 1->2年目という流れの中で、その優秀さを見せつけてくれる宮森の「責任感」と類まれな「マネジメント能力」について、印象的なセリフを抜粋して書きたいと思います。

その前に・・・

序盤に見せる精神的な弱さ

宮森は他のキャラよりも多くの精神的な弱さ、精神的な軸のなさも表現されています。
特に序盤は成長前というところで軽く振り返ってみましょう。

「ドーナツ食べたいっ! ドーナツドーナツ!ドーンといきたいよぉ!」

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1話。かわいい。わかる。

「私は、まだ具体的に何になりたいとか何がしたいとか目標がなくて。私には、何ができるのかなぁ。」

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4話。
自分が仕事をする、していく上での悩みがこの自問自答にも見えるセリフに表れていますね。
しれっと会話相手である絵麻に褒めてもらいたい感じがかわいいです。

「なんだろう・・・私の最終目標って・・・」

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7話。
ひとの最終目標なんて知らないけどかわいいですね。このシーンの前の絵麻の冷たい表情もいいです。

「みんな、夢とかあるんだな。」

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8話。
そうなのかもわからないですが、かわいいなぁ。ハンドルになりたい。

圧倒的成長を遂げる責任感

さて、ここからが本題です。デスクになる直前辺りから一気に精神的に成長します。
まあ最初から仕事っぷりはおかしいと思うのですが、そこらへんは割愛して。

「今回は、最初に監督の考えを聞いておきたいんです。何がやりたいのか、どう作りたいのか。」

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13話。2年目直前にデスクに任命され、そしてチームマネジメントとして最初にとった行動です。

アニメの制作には全く詳しくありませんが、プロダクトを作るという立ち位置で見ると、舵取りをする人の言葉や意識はそのままプロダクトの方向性に反映されます。
舵取り者(ここでは監督)が目指すプロダクトの方向性を把握することこそが、そのプロダクト制作において、そしてその進行を調整する立場として重要であることをありのまま伝えているわけです。
そして「今回は、」という言葉から制作進行のときの反省を活かし、より良いものを作ろうという意志が見て取れます。素晴らしい責任感です。

「ちゃんとコミュニケーション取って欲しいです。瀬川さんたちと。」

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21話。平岡と瀬川さんの間に確執ができ、その仲裁をしたときのシーンです。

平岡の知り合いである磯川から「クリエイターと制作が共有出来る目標を一緒に粘り強く探し続けて落とし所を見つける事が大事なんだと思うね。こっちもクオリティーを大切にしてるかどうかって、ちょっとした事でクリエイターも感じ取れるんだよ。いい作品を作ろうと戦っているのはみんな同じなんだから」という言葉で宮森は吹っ切れます。

第三者から見てもコミュニケーションが取れていないという点、特に瀬川さんと取って欲しいという点、そして暗に瀬川さんたち以外ともコミュニケーションが取れていないという事実をつきつけながら、先に「コミュニケーションを取って欲しい」という想いを伝えるあたり、話術の才能を感じさせますね。
他者への敬意を持ち、正直に気持ちを伝え、そしてプロダクトを完成させるという「全員に共通するゴール」へ一直線で向かっている点が垣間見えます。
同じゴールを持ちながら、チームメンバーで足を引っ張りあい、争うことは非常に無駄な行為ですからやらないように気をつけたいです。

一緒に仕事をする人に対する敬意と信頼

この面に関しては、こんな人にマネジメントされたい・・・という思うくらい良いセリフが多々あります。
その中でも言われたいセリフ、そしてその考え方を真似したいと思える2つを抜粋しました。

「この仕事は杉江さんにしか出来ないと思います。」

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12話。このセリフに出てくる杉江さんはベテラン作画であり、その腕は作中でも高い評価を受けていることが分かります。 そうは言っても「あなたにしか出来ない仕事をお願いしたい」「あなただからこそお願いしたい」という表現を腕が確かな人に、それも普段一緒の仕事場にいる人に伝えることは誰にでもできることでしょうか? またその飾り気のないセリフに宮森の誠実さがよく現れていると思います。
しかもこれが1年目というのはもうマネジメント向きの人間性を備え付け過ぎです。

こんな言葉を貰ってみたいものですね。宮森に「この仕事はデブにしか出来ないと思います。」と言われたらめっちゃ頑張ると思います。

「でも絶対戻せないってことじゃないですから!」

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22話です。
瀬川さんからの信頼を一度失ってしまった宮森。矢野先輩の言葉を受けてのセリフなのですが、見方によっては、信頼を失うことについて宮森が甘く見ているのではないかと先輩から釘を差されたとも言えるでしょう。
このセリフですが、その精神力もさることながら、瀬川さんの指摘が「感情」ではなく「仕事とその責任感」から来たものであることを理解していないとこの発言は出ません。
まあ太郎が喋っていたら「図々しい」と評されるのかもしれませんし、僕は思いますが。

余談ですが、このセリフでググるとヨリを戻したい人達の投稿がいっぱいでてくるので検索しない方がいいと思います。

先輩としての一面

2年目に入り後輩が入ってきたときの宮森。いい先輩になっています。
来年はこんなメンターになりたいですね、といいたいんですが当分機会がなさそうなので心の内に秘めておきます。

「新人の制作も入ったんです。裏道覚えたらどんどん間違った方法に頼るように・・・」

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16話。「融通きかねえな新人は。原画進めておいて、作監作業で直せばいいだろ。これもぷるんぷるんするぞ」という平岡のセリフに対する返しです。

仕事・プロダクトに対する責任感や先輩としての責任感を見ることができますね。
宮森は目の前の仕事だけではなくその先を見ていて、間違った方法に頼ったとき将来的に評価等含めて困るのはまずその人、そしてその悪影響は波及し、この場合は一緒に働く人(特に作監)へと広がるところまできっちりと視野に入れています。
平岡から見ると柔軟性がないと捉えられている通り、個々人のボーダーが違うという点は当然です。だからこそ、その前提の上でしっかりと意見を主張できる点が素晴らしいですね。

「そのうっかりをちゃんと覚えておいてね。覚えておけば、次の失敗はないから。」

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17話。新人が入ってきて、初歩的なミスをして落ち込んでいるときにしたアドバイスです。

ただの優しさのようにも見えますが、自分に対する言葉のようにも見えますし、またそこから今までの業務姿勢を見ることができます。
自分自身がその姿勢でいなければ、こんな一言は伝えられないでしょう。

まとめ

かわいい。一緒に仕事したい。餌付けしたい。

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おまけ

制作デスクのお仕事についてはこちら。 制作デスクの仕事 | P.A.WORKS Blog